プラスチックおさらい2
本日は、先月に原点に立ち返って触れさせて頂いたプラスチック材料について、その続編を記載したいと思います。
「プラスチック」と「合成樹脂」の違いや「樹脂」とよばれているゆえんなどを前回は言及させて頂きました。
今回は
1.合成樹脂の種類と分類
2.合成樹脂の見分け方
3.合成樹脂の性質のちがい
について触れて行きたいと思います。
1.合成樹脂の種類と分類
まず大きな分類で言うと【熱可塑性樹脂】と【熱硬化性樹脂】に分けることができます。
前者は、加熱すると軟化し流動性を持つようになるプラスチックで、身の回りにあるプラスチック製品に用いられております。
後者は、成形前に流動性を持っていて加熱すると硬化するプラスチックで、より高い強度や耐熱性が必要なプラスチック製品に
用いられています。ちなみに後者で有名な物てとし「メラミン樹脂」「シリコン樹脂」「エポキシ樹脂」などが挙げられます。
さらに前者の【熱可塑性樹脂】を細かく分類すると、
①汎用プラスチック
②汎用エンジニアプラスチック
③スーパーエンジニアプラスチック
④その他
と分けることができます。
2.合成樹脂の見分け方
通常に流通している合成樹脂の見分け方について触れてみます。
①「容器包装リサイクル法」により、三角形のリサイクルマークと樹脂名が記載されているためそこから特定できる
②「家庭用品品質表示法」により、水回り製品には樹脂名・耐熱温度・注意点が記載されているためそこから特定できる
③「工業用部品」や「食料品店の包装容器」には樹脂名がマーキングされているためそこから特定できる
④「化学物質」は赤外分光分析法によりIRチャートが示されるためそこから特定できる
→測定対象の物質に赤外線を照射し、透過(あるいは反射)光を分光することでスペクトルを得て、対象物の特性を調べる
⑤燃焼させてその炎の色や臭いによって特定できる
→「青白い炎」で消火後ロウソクのような臭いになる樹脂はPE、石油系の臭いになる樹脂はPP、ホルマリン臭になるのがPOMなど
以前パーテーションを回収しようとした時に素材をどのように選別したらよいか?というテーマでコラムを書いておりましたが、
上記の④の分析法を用いた機器も紹介しておりましたし、汎用プラスチックの特徴と選別の仕方にも触れてました。
3.合成樹脂の性質のちがい
合成樹脂は「モノマー」(単量体)の化学構造によって決まります。モノマーの構成元素は「水素」「炭素」「窒素」で、
そこに例外的に他の元素が加わり、それらを組み合わせる化学構造がそれぞれの樹脂の基本性質を決めています。
ちなみにもし同じ「モノマー」を使用していても、重合※方法・重合温度・重合圧力・重合触媒の種類によって高分子構造が
変化して、全く異なる特性の樹脂を作ることができます。
※重合とは
合成高分子物質のすべては小さい化学的集団の単位(単位化合物)の繰り返しによってできている。
この単位化合物を単量体(モノマーmonomer)とよび、このときできあがった高分子を重合体(ポリマーpolymer)といい、
また重合体を構成している単量体の数を重合度ともよんでいる。重合とは、この重合体をつくりあげる化学反応を総称している。
今回触れさせていただいた内容は合成樹脂についての基本的情報をかいつまんでご紹介させて頂いているに過ぎません。
まとめるのであれば、「モノマー」(単量体)に大きな違いが無くても、その使用目的によって樹脂の性質をカスタムして
さまざまな性質を持つ合成樹脂を生み出して来たと言えますね。
技術の進歩で今では鋼の代替で使用される軽くて丈夫なプラスチック素材も徐々に浸透してきております。(CFRP)
素材の進歩とリサイクル、この両側面で今後も合成樹脂・プラスチックにフォーカスして行けたらと思っております。