プラスチックと温度管理について
早いもので10月に入り、今年もあと3ヶ月となりました。まだ残暑はありますが、ラニーニャ現象の影響で
過ごしやすい秋は短く、この冬も寒さが厳しくなるようです。継続するコロナ対策はもちろん、それ以外の体調管理にも
十分気を付け頂けてお過ごし頂けたらと思います。
※ラニーニャ現象について↓↓
https://tenki.jp/forecaster/k_shiraishi/2022/09/10/19421.html
そしてこの時期は年末にかけてお客様からのご相談や加工のご依頼が増えて行くシーズンと言えます。
プラスチック加工についてのご用命がありましたら何なりとお声がけ頂けたらと思います。
このプラスチックマーケットではプラスチック全般の加工や成形、そして素材開発までも承っております。
その中でもプラスチックマーケットの運営しているワーズウィズで得意としているのが、アクリルの「板加工」と「素材開発」
になります。
「板加工」はブランド品のディスプレイや商品の製作、「素材開発」はアクリルに物を封入したり意匠や機能を付加して素材を製作
することを指します。前者と後者では、設備や製法がそもそも異なるのですが、共通して注意すべき点が「温度管理」と言えます。
まず「板加工」で言いますと、アクリル板は看板材としての屋外使用も多く、耐候性が高い素材と言われております。
使用温度はマイナス40°~65°で、伸縮性の目安は長さ1mに付き、10℃の温度変化で約0.7~2mm伸縮が見込まれます。
その伸縮を配慮した素材選びや在庫管理が板加工の工場では必要になる訳です。
たとえば温度に左右される代表的な例が「曲げ」加工。寒さによって縮みが大きくなってくるため、直角を出すときなどは
夏場より縮みを考慮して開き具合を大きくしたりの調整を行うのが常になります。
そして板加工で複雑な加工をすると、板に加工の応力(ストレス)が残り、温度変化によってその応力が板に影響を及ぼす
場合もあります。特に複雑かつ繊細な三次元切削を多く手がける工場ではなおさらその応力のコントロールが必要になります。
その応力のコントロールのために熱の力を利用することもあります。
上記のような素材選びや在庫管理、縮みを考慮した曲げ加工、そして加工後の応力対策にはワーズウィズのメイン工場であるアート
日向はたくさんの実績に裏付けられたノウハウを持っております。冒頭で今年の冬の寒さが厳しくなると書きましたが、この寒さ
(温度差)対策もばっちりであると言えます。
一方の「素材開発」は分かりやすく言うと液体から固めて素材を製作する事を指します。
以前の記事で記載させて頂きましたがプラスチックの構造は単量体(モノマー)を重合させて重合体(ポリマー)を生成します。
プラスチックおさらい2 / 3.合成樹脂の性質の違いをご参照ください↓↓
アクリル原液を重合させて素材を作る方法は大別して2通りあります。
①封入技法(アート日向社)
液体アクリルに物を封入して熱と圧力を加えて封入する技法で、主にブロックとして仕上がります。
②キャスト技法(ワーズウィズ埼玉工場)
液体アクリルに柄や物を入れ込んで熱をかけて固める技法で、主にキャストの板材として仕上がります。
いずれも液体アクリルに熱を一定時間かけて「重合反応」を引き起こして素材を生成する技法になります。
①②いずれも中に入る素材や完成サイズ(厚み)によっては熱をかける時間や温度に変化をつけて「重合反応」を引き出して
製作しております。特に①は中に入れる素材によって、温度差による樹脂や中味の収縮の発生が多くなるため、
その製作環境に応じて「重合」条件を変えて製作しております。
このように木のような自然由来の素材だけではなく、プラスチックもその加工環境や温度によって加工や生成方法が変わって来る
素材であると言えるのではないでしょうか。
プラスチックを知り尽くした当グループだからこそ解消できる課題も多くあると自負しております。
何かお問合せやご依頼したいことがありましたら何なりとご連絡頂けたら幸いに思います。
そして今後はいよいよ年末に向けてプラスチックマーケットの各工場への取材も進行して行きたいと思っております。
引き続きましてどうぞよろしくお願い致します。