アップサイクル素材の未来
春から新体制となって駆け抜けてきたプラスチックマーケットでは、主に新素材や加工技術の紹介などをして参りました。
ここで、コラム担当者がぼんやりと思い描く<アップサイクル材>の展望について、雑談でも挟んでみようかと思います。
■アップサイクルとは
本来であれば廃棄されてしまう予定の製品に新たな付加価値を与え再利用する、「創造的再利用」の取り組み。
「限りある資源の循環を目指す」という循環型社会の観点からみると
異素材を組み合わせることで「持続可能」ではなくなってしまうアップサイクル材の未来には、まだまだ課題も多くあるように思えますが
その反面では、素材そのものの良さを活かすという点に置いて非常にクリエイティブな素材であり
再生という枠にとらわれることのない可能性が無限に広がっているようにも思うのです。
弊社では、単一の素材で製造し繰り返し再生のできる「資源に戻した持続可能な素材」を<再生(リサイクル)材>
アクリルと組み合わせることで廃棄物の削減を実現した「原料を活かした創造的な新素材」を<アップサイクル材>として定義し
すでに多くの新素材を開発して参りました。
まずはそれらを改めてご紹介すると共に、今後開発を目論む素材についても挙げてみたいと思います。
■アップサイクル材の開発
既にご紹介したことのある素材も含め、色々と集めてみました。
左からマニキュア、コーヒーの出涸らし、アイシャドウとなっております。
他にもドライフラワーやゴマ、おがくずなどの実績がございます。入れてみたい!と思ったら入れてみる精神です。
[過去コラム]Hi-Plate.┃新作<Hi-Plate.BLK>
当サイトでは、自社開発はもちろんお客様からのご依頼でアップサイクル材を開発することも多々あります。
完成してみればその発想や魅力に感嘆するばかりです!まだまだアイデアの引き出しが足りないと思い知ります。
■炭カル板
アップサイクルとはまた少し違う括りになるのかもしれませんが
当サイトでは以前より、石灰石を用いた通称<炭カル板>の開発も進めております。
アクリル=石油の使用量を減らすと共に、地球上にまだ豊富に存在する石灰石を有効活用する取り組みです。
色合いがとっても可愛い上に人工大理石の雰囲気も持ち合わせており、非常に魅力的な仕上がりとなりました。
現状、含有率40%程度にてアクリル板として成立する製造スキームは既に完成しております。
貼り加工や曲げ加工のテストもクリア。
色はつけられないのか?粒子を完全に見えないようにできないか?逆にもっと残せないか?と、夢広はがるばかりです。
■今後の展望
例えばこのコラムを書きながら、足元のごみ箱へ吸い込まれていくカラフルなペットボトルキャップや
机の片隅に溜まったお洒落な印刷入りの包装紙などを横目に「これは可愛いアップサイクル材ができそうだ」と期待が膨らみます。
昨今、持続可能な素材として注目を集めている<竹の間伐材>をアクリルにも転化できないか、とか
卵の殻が意匠面への良いアクセントになるのではないか、とか…そんな思いを時折工場へぶつける日々です。
埼玉工場奮闘記。
プラスチックマーケットが新体制となって始まった頃にそんな企画をしておりましたが
実は粛々と進行しております。そして奮闘しております。お披露目できる日を楽しみにお待ち頂ければと願います。
コラムは毎週木曜日に更新しております。次回もお楽しみに。