カーボンネガティブ?ポジティブ?
オリンピック北京大会が2月4日に開幕しました。コロナの中での五輪2回目になりますが、昨年夏の大会の経験をふまえて
さまざまな感染対策がなされているようですね。オリンピックが半年後にまた見れるという機会もそうありませんので、
ふだん見ないTVをつけて応援しようと思っております。
国際オリンピック委員会(IOC)が昨年、オリンピック大会運営を含む全ての事業での二酸化炭素排出量を2024年までに
マイナスにする「カーボンネガティブ」(気候ポジティブ)を実現すると発表したのは記憶に新しいですが、本日は
このあたりの用語「カーボンニュートラル」「カーボンネガティブ」(気候ポジティブ)「カーボンポジティブ」の違いについて
調べて行けたらと思っております。
【カーボンニュートラル】
2021/7/4のコラムでも紹介させて頂きましたが、地球上に存在するCO2の総量が一定になり、それが増減しない状態を
目指すという考え方です。
カーボンニュートラルについて – プラスチックマーケット | アクリルや合成樹脂加工のトータルネットワーク (plasticmarket.co.jp) |
【カーボンネガティブ】(気候ポジティブ)
カーボンネガティブとは、CO2の排出量よりも吸収するCO2の量が多い状態のことをいいます。
カーボンニュートラルとの違いは、カーボンネガティブのCO2を除去するという削減への積極性です。
【カーボンポジティブ】
これはCO2を”除去”する=ネガティブという考え方に対し、CO2を”吸収できている”=ポジティブという考え方で
語句は反対語ではあるものの同じ意味を示しています。
この辺りの差が良く分からなかったので調べてみると「CO2削減」という目的は同じでその積極性や考え方の違いと言えそう
ですね。いちばん目的意識の強い言葉は「カーボンネガティブ」だったのでこちらについて多少掘り下げて見たいと思います。
カーボンネガティブという用語が注目されるようになったのは米マイクロソフト社の掲げる脱炭素目標と言えます。
具体的には「1975 年の創業以来、直接的および電力消費により間接的に排出してきた CO2 の環境への影響を 2050 年までに
完全に排除します。」という宣言でした。マイクロソフト社では企業内部で炭素の価格を設定して企業の低炭素投資・対策を
推進する仕組みを構築してます。
このようなCO2排出量の削減をする上でも注意しなければならないのは表面的な脱炭素の取り組み「グリーンウォッシュ」に
ならないようにすることだと言えそうです。いくら環境に配慮した燃料を購入しCO2排出量を削減したとしても、輸送や生産過程
などで、これらの削減量以上にCO2排出量が増えてしまっては意味がなく、調達や生産過程も考慮に入れて、サプライチェーン全体
を視野に入れて取り組む必要があるという事です。
温室効果ガスの影響で海水面は上昇し、氷河や海氷は解け、海面水位も上昇をはじめています。それを受けて、気候変動による
豪雨や熱波、大規模な水害や山火事が各地で発生しております。一刻も早く、国際社会全体で脱炭素に取り組む必要がある現状が
あると言われておりますね。
ではプラスチックで実現できる脱炭素とは?やはり「バイオプラスチック」の普及と言えると思います。
おさらいになりますが、下記プラスチックの普及が脱炭素の鍵となると言えそうですね。
(1)生.分解性プラスチックス → 微生物の働きで低分子化合物に分解されるプラスチック。
土に埋めるなどして微生物がいる環境にあると分解され、最終的には水とCO2になるので自然界に悪影響を与えない
(2)バイオマス(生物由来)プラスチック→動植物から生まれた再利用できる有機性の資源「バイオマス」を原料とする
プラスチック。バイオマスプラスチックに含まれる炭素は、元が植物が空気中のCO2から取り込んだもので燃やしてCO2を発生
させても、それはもともと空気中にあったものなのでCO2は増えていないとみなせると言えますね。
やるなら表面的でなく、本質的に取り組みたい。「カーボンネガティブ」はプラスチックマーケットでも大きな目標とテーマと
なると考えております。