プラスチックの未来考
前回はプラスチックごみの現状について記載させて頂きましたが、今回はプラスチックの未来についてご記載させて頂きま
す。プラスチックの歴史はまだ浅いもののその素材の持つ①軽さ ② 生産性(大量生産可能でコスト安)③摩耗や腐食
しにくいといった特性が支持され、その需要はさまざまな業界に急速に拡大して行きました。
その一方で廃棄した際には自然分解されず、環境中に流出すると半永久的に残ってしまい、地球環境に大きな負担をかけて
しまいます。海洋汚染を筆頭に土壌汚染ならびに焼却処分時に出るCO2や有毒物質などの負担ですね。
そのような状況でありますので現在「脱プラスチック」の動きが世界的に広がっております。SDGs→サスティナブルの
取り組みが一般的ですね。使い捨て用が中心の「容器包装用等」プラスチックにその動きが顕著に表れておりますね。
【プラスチックの削減例】
・使い捨てプラスチックストローを紙製ストローに切り替える(飲食店)
・植物由来の飲料キャップの実現と再生PET素材でつくるボトルの開発(飲料品メーガー)
・小型アメニティーアイテムを廃止して、大型ボトルに差し替える(観光・ホテル関連)
・プラスチックの使用量の削減と再生プラスチックの推奨(各業界)
こう見るとプラスチックの使用量は飛躍的に少なくなり、将来的には無くなっていくように感じられるかも知れませんが、
世界のプラスチック市場規模の調査」という記事を見ますと必ずしもそのような予測はされておりませんでした。
記事では2022年に5,994憶米ドルの市場価値から2030年末までに7,569憶米ドルに達するとされているのです。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001644.000059861.html
昨今のSDGsでは2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標としてのサスティナブルの必要性が叫ばれて
いますしカーボンニュートラルでも2050年までに「地球上に存在するCO2の総量が一定になり、それが増減しない状態」を
目指しており、いずれも脱プラスチックは不可避と思われておりましたが、。
見ると非生分解性のプラスティックスによる環境劣化は、2022ー2030年の予測期間中に市場の成長を妨げる反面、
バイオベースのプラスチックの出現は市場の成長を推進すると記載されています。
廃プラスチックを原料としてリサイクル製品を製造する動きがより活発化して行くということでしょうね。
ここで以前のコラムにも記載しましたがバイオベースのプラスチックについてご紹介させて頂きますね。
(1)生分解性プラスチックス
→微生物の働きで低分子化合物に分解されるプラスチック。土に埋めるなどして微生物がいる環境にあると分解され、
最終的には水とCO2になるので自然界に悪影響を与えない(CO2自体が悪いのではなく過剰になるのがいけない)
(2)バイオマス(生物由来)プラスチック
→動植物から生まれた再利用できる有機性の資源「バイオマス」を原料とするプラスチック。
特に(2)のプラスチックについては以前のコラムでも何回かご紹介させて頂いておりますが、「TEXa」というヤシや
稲のもみ殻を50%使用して製作されている素材を使ってこのプラスチックマーケットのグループでも商品化されており
ます。TEXa案内資料
またバイオマスではないものの「LIMEX」という石灰石を原料にした紙やプラスチックの代替となる新しい素材も商品化
されております。このLIMEXは石灰石が6割で残り4割が石油由来のポリオレフィン樹脂でできており、バイオマスと同様に
石油の割合を減らして資源の枯渇の低い素材で補っているのが特徴です。また、循環して再製品化するというリサイクル
スキームもある程度は確立されております。
こちら以外でも新しいバイオマスやリサイクル素材を紹介しているのが、12/8から幕張メッセで開催される高機能プラス
チック展内の「サスティナブルマテリアル展」で、プラスチックマーケットの協力工場である射出成型の3社出展しており
ます。→河村樹脂、東和プラスチックス、港化成工業
エシカル消費(環境や人、社会のことを考えて消費しようという考え)が叫ばれる中、プラスチックに求められる役割は
まだまだ多く、そのような中で私どもプラスチックマーケットに求められていることは環境にやさしい樹脂のご提供や
リサイクル循環の推進ひいては素材の開発のように思います。グループでの取り組みも継続してご紹介させて頂こうと
思います。