合成樹脂の改質剤
先週は「開発」について記載させていただきました。
樹脂素材を製作できるということは、その素材の質をコントロールできるということです。
本日は合成樹脂の質を変えることができる添加物=改質剤についてご紹介させて頂けたらと思います。
①抗酸化剤、・熱安定剤
→成形または使用時におこる酸化を防ぐ役割の添加剤。
②紫外線吸収剤・光安定剤
→特殊な光による劣化を防ぐ役割の添加剤。
③帯電防止剤
→プラスチック(合成樹脂)には静電気が発生しやすくなるためそれを防ぐ役割の吹き付け(添加)剤。
④導電材
→導電性を付加するために金属繊維や導電性カーボンを含有させる。
⑤強化材
→(A)ガラス繊維やカーボン繊維などをポリマーと結合させて強化する方法で製作された強化材と、(B)ポリマー同志を
結合させて強化させる方法で製作された強化材がある。
⑥着色剤
→装飾のための着色はもちろん、耐候性対策や間違い防止のためにも着色される添加剤。染料・無機顔料・有機顔料を指す。
⑦発泡剤
→軽量化目的や断熱性や緩衝性を付加させる目的の添加剤。さらにはひけ防止にも効果あり。
これらの改質によって、目的とする性質が実現できる一方で、別の性質にマイナス効果を与える場合も
ありますので、背反的な効果をチェックしておく必要があります。
この中でも③と⑤についてもう少し深堀りさせて頂けたらと思います。
まず③帯電防止剤について
界面活性剤(※)には表面に水を吸収しやすい膜をつくったり、滑りやすくすることで静電気の発生を抑える効果が得られるもの
があります。合成繊維やプラスチック製品は静電気を帯びやすく、それゆえ埃や汚れが付着しやすい特性があります。
そのような場合に表面に塗布したり、練りこんだりして、静電気を防げるようになります。
※界面活性剤・分子内に水になじみやすい部分(親水基)と、油になじみやすい部分(親油基・疎水基)を持つ物質の総称。
両親媒性分子と呼ばれることも多い。
加工を終えて研ぎ磨きを経て、最後は帯電防止剤を吹き付けた布できれいに拭き上げる。アクリルの加工工場では見慣れた光景
ですね。
そして⑤強化材についてですが、こちらには大別して2パターンあります。
(A)ポリマー(※2)+繊維状強化材
高剛性化または高強度化を目的として複合される強化材です。こちらの象徴的な素材がCFRPです。
炭素繊維(カーボンファイバー)を強化材として加えたFRPで、航空宇宙分野やレーシングカーにも用いられている信頼性の高い
素材です。
(B)ポリマー+ポリマー(ポリマーアロイ)
耐衝撃性、耐薬品性、成形品外観改良を目的に複合される強化材です。ポリアミド、ポリカーボネート、
PPE(ポリフェニレンエーテル )、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ポリアセタールと言ったエンジニアプラスチック
(エンプラ)が象徴的な素材です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%82%A4
※2合成高分子物質のすべては小さい化学的集団の単位(単位化合物)の繰り返しによってできている。この単位化合物を単量体
(モノマーmonomer)とよび、このときできあがった高分子を重合体(ポリマーpolymer)という
改質の追求を繰り返してプラスチックの種類が増えて行っております。増える選択肢の中で、使われる状況のマッチした素材を
ご提案するのもプラスチック加工を行う会社に求められることだと考えております。そのあたりを十分意識して今後も取り組んで
参りたいと思っております。