2021.10.10

防災と蓄光について

防災と蓄光について

先日の首都圏の最大震度5強の地震は驚きましたね。自分は地下鉄のホームで電車を待ってましたが、地面のうねりみたいなものを

感じた時に思わず声が出てしまいましたね、。翌日まで交通機関に影響が出ていて改めて有事に弱い首都圏を実感した次第です。

 

今日は有事に備えるということでプラスチックマーケットの協力工場の「防災」関連に使える素材やアイテムについてご紹介

させて頂きます。まず皆さまは「蓄光」という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか?

 

太陽光や人工照明の光をエネルギーとして蓄積し、その蓄積したエネルギーが 放出され光を出す現象を指しますね。

停電の時などは暗闇でも光るため、防災用の誘導標識としてよく使用されています。

 

「蓄光」機能の素材は、蓄光テープをはじめとして、シール、塗料などが一般的ですが、プラスチックでも蓄光素材

が作れます。(そちらは後ほどご紹介させて頂きます。)

 

この「蓄光」には有事の避難誘導といった防災アイテムとい う役割のほかにも、日常生活とくに夜間に物のある場所の目印に

なるという役割もあります。もちろん前者と後者で求められるスペックが全然変わってきます。前者の場合は、その機能を測る

指標がJIS規格に定められています。

 

屋外向け JIS Z9097 規格 /分区 励起(※1)停止後720分後のりん光輝度

【Ⅰ類】 3mcd/㎡以上 10mcd/㎡未満  【Ⅱ類】 10mcd/㎡以上

励起(※1)光条件 : 400µw/c㎡ 60分照射

 

※1 原子・分子などが、外から熱・光・放射線などのエネルギーを与えられ、もとのエネルギーの低い状態からエネルギーの高い

状態に移ること。

 

平たく言いますと、「蓄光」素材に1時間光を当てた後に暗くして12時間後の明るさを測定するもので、Ⅱ類の明るさが残っていれば

防災機能が保障された物として公共機関を中心に優先的に使用される訳です。

 

プラスチックマーケットを運営するワーズウィズの埼玉工場では、実は以前から「蓄光板」の製作と「JIS Z9097 Ⅱ類」への挑戦

を行っておりました。もともとは蓄光キーホルダー用のキャスト板を製作しており、その光の残り具合を長くするような取り組みは

行っておりませんでした。http://waazwiz.com/technology.html#saitama

 

ある時、大手の材料メーカー様より「JIS Z9097Ⅱ類をクリアできるような蓄光板を作りたい」とのご相談を頂き、試作を開始

しました。蓄光顔料の主な組成は「アルミン酸ナトリウム」というナトリウムとアルミニウムを含む無機化合物で、例えれば鉱物を

砕いたような物性です。おのずと①拡散しづらい ②板にした後に加工しずらいという課題にぶつかります。

 

前述のⅡ類の基準をを満たすためにはシンプルに蓄光顔料をたくさん入れて板を作ればいい話ですが、この物性の顔料を

入れ過ぎても板として固まらなかったり、強度が落ちたりいろいろな弊害が出てくる訳です。アクリル板としての機能も果た

しつつ、蓄光機能も維持しつつで何度もトライ&エラーを重ねて、何とかⅠ類の基準は突破することができました。

こちらは大手メーカー様のご尽力の賜物のため感謝の気持ちも大きいですが、一方でまだⅡ類突破はあきらめておりません。

 

そういったキャスト板での「開発案件」の一方で、射出成形でも「蓄光」機能を付加したアイテムが製作できます。

射出成形で作る「蓄光」アイテムのメリットとしては立体物が手軽に製作できるところと言えます。テープや印刷はあくまで平面

ですし、アクリルキャスト板を製作しても、物性が石に近いので加工がなかなか大変になって来ますね。。

画像は通常のチェーンですが、プラスチックマーケットの協力工場の射出成形の工場では、蓄光のチェーンも物理的に製作する

ことが可能になります。添加量には限界があるとは思いますが、成形のしやすさは射出成形であると言えそうですね。

https://www.kawamura-jushi.co.jp/product/

 

さて、今までは「蓄光」に焦点を当ててご紹介させて頂きましたが、「防災」という観点からプロダクトをご紹介させて頂けたらと

思います。発売が今か5年前になります”世界一透明な懐中電灯”(自称)【Air’s LIGHT】、そしてそちらの廉価版で3年前に

発売された【TWINKLE LIGHT】ですね。

こちらは「懐中電灯」モードと「キャンドル」モードと2パターンあり、光源がボタン電池なので、ふだんはお部屋のインテリア

としてご使用いただいていて、有事の際は「懐中電灯」として持ち出せるという物です。土台や本体に蓄光シールを貼ってご使用

されている方もいらっしゃると聞きます。こちらワーズウィズにて販売しております。

 

今後はせっかく各グループの強みがありますので、そちらを集結させた新たな「防災」アイテムを企画したいと考えております。