2021.05.22

オリジナルアクリル板工場について

オリジナルアクリル板工場について

みなさまはプラスチックがどのように製造されるかご存じでしょうか?

たとえばアクリル板ですと「セルキャスト製法」と「押し出し製法」と大別して2種類の製法があります。

それぞれの製法で作られた板の特性は以下の通りです。

押し出しとキャストの違い

 

プラスチックマーケットの協力工場でもアクリル板を一から製作している工場があります。

ワーズウィズ埼玉工場は、50年以上の歴史を持つアクリルセルキャスト工場の技術を継承した工場になります。

 

生産されているセルキャストは通称「ハイプレート」。サイズは750×600mmと少々小ぶりながら、その板で表現できる

色や柄は幅広く、主に女性向け装身具(髪留め、アクセサリー)用やキャラクターキーホルダー用に流通されております。

 

近年は板開発にも積極的に取り組んでおり、ドイツEVONIC社製「プレキシグラス」を用いて製作されていたテーブル天板

のスペックを自社で見事に再現し、セレクトショップのテーブル天板の製作を一手に引き受けることができました。

そして「眼鏡」用素材としても大手眼鏡メーカーと共同で素材開発を行い、発売に向けて日々試行錯誤を繰り返しております。

 

アクリル本来の特性を変える作業、これはとても時間のかかる作業です。悪く変えることは簡単ですが改良することは

幾度となくPDCA、トライ&エラーを繰り返さないと正解にたどり着くことができません。

 

たとえば「眼鏡材」で求められる素材特性が、①耐衝撃と②耐熱です。

 

①耐衝撃  アクリルは素材的に表面硬度は硬いですがそれがゆえに衝撃を受けると「破断」のリスクが高い素材です。

毎日使用してる中で予期せず眼鏡に負荷がかかることも多いため、ある程度の「耐衝撃性」が必要です。

ここでいう「耐衝撃」には素材の硬さは必ずしも不要で、受けた衝撃を分散させるための「しなやかさ」こそが求められるのです。

 

②耐熱 アクリルは熱可塑性の樹脂であり、高熱をかけると軟化します。軟化すると寸法や強度が変化して、当初の製品機能が

低下する懸念があります。ですからその素材の軟化点の手前を「耐熱温度」に設定している場合が多いです。

 

眼鏡も高温時の使用や保管、そしてかけ具合調整時にも高温ヒーターを使って調整作業しますので、より高い「耐熱」が求められるのです。①で「しなやかさ」を実現できても、その影響で「耐熱」が低下する事も多く、いたちごっこの様相を呈しているのが現状です。

 

そして前回のコラムでご紹介したSDGsの試みとして、使用済のアクリルを粉砕または溶解してセルキャスト製法で板にする

開発も進行しており、こちらも追ってご紹介させて頂きます。

 

自社でアクリル板を製造できる会社は既存の材料メーカーを除いてほぼありませんので、今後の「新規開発」を含めて

ワーズウィズ埼玉工場は、グループの重要な位置づけとなる工場ですのでまたご紹介させて頂けたらと思っております。