2022.04.17

生分解性プラスチックとは

生分解性プラスチックとは

本日はバイオマスプラスチックを語る上で、このコラムでも何回か名前が出ているもののその性質が今一つつかめていない

「生分解性プラスチック」について記載させて頂きます。

 

まず「バイオマスプラスチック」とは動植物から生まれた再利用できる有機性の資源「バイオマス」を原料とするプラスチックを

言います。バイオマスプラスチックに含まれる炭素は、元が植物が空気中のCO2から取り込んだものなので、燃やしてCO2を発生

させても、それはもともと空気中にあったものなのでCO2は増えていないとみなせますので、それがカーボンニュートラルと言え

ます。

 

一方の「生分解性プラスチック」とは何かと言いますと、微生物の働きで低分子化合物に分解されるプラスチックを指します。

土に埋めるなどして微生物がいる環境にあると分解され、最終的には水とCO2になるので自然界に悪影響を与えないと考えられて

おります。

 

↓「生分解性プラスチック」に触れた記事

https://plasticmarket.co.jp/column/%e3%82%ab%e3%83%bc%e3%83%9c%e3%83%b3%e3%83%8b%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%83%88%e3%83%a9%e3%83%ab%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/

 

https://plasticmarket.co.jp/column/%e3%82%ab%e3%83%bc%e3%83%9c%e3%83%b3%e3%83%8d%e3%82%ac%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%96%ef%bc%9f%e3%83%9d%e3%82%b8%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%96%ef%bc%9f/

 

「生分解性プラスチック」の生分解度は、国際的に規定された試験方法と、定められた基準により審査されます。

さらに、重金属等の含有物、分解過程(分解中間物)での安全性などの基準をクリアした製品だけが、生分解性プラマークをつける

ことができます。

 

それでは「生分解性プラスチック」がどうような物に使用されているかは主に以下の通りになります。

①農業・土木資材 (マルチフィルム、燻蒸フィルム、獣害対策忌避ネット等)

→収穫後もマルチフィルムをそのまま土に混ぜ込んで生分解させることにより不要物の回収手間がなくなる

 

②生ごみ収集袋(堆肥化・メタンガス発酵施設へ)

→生ごみは堆肥やメタンガスに再資源され、収集袋は生分解されるため、廃棄物の削減につながる

 

③食品容器包装(食品容器包装・カトラリー・ストロー等)

 

そして「生分解性プラスチック」と言われるプラスチック素材と素材別の順位(使用率)

①PBAT【ポリブチレンアジペートテレフタレート】    19.2%

②PLA【ポリ乳酸】                 18.9%

③でんぷんブレンド樹脂              16.4%

④PBS【ポリブチレンサクシネート】                                3.5%

⑤セルロースフィルム                                                            3.2%

⑥その他                     3%

※生分解性プラスチック素材合計         64.2%

 

一般的に「生分解性プラスチック」と言えばやはり薄いシート状のプラスチックが目立つのは、土の中で微生物によって分解できる

厚みが限られているからだと言えます。海外製の生分解性プラスチック製品でたまに土の中で15~20年で分解されるという

物も見かけますが、質量が大きいほど分解の時間が長くかかってしまうというのが課題だと言えそうです。

さらに市場でまだ流通されていないため、「生分解性プラスチック」は通常製品と比べてコスト高になることも避けられません。

 

とはいうものの、世界的なサスティナブル気運の高まりとともに生分解性プラスチックの市場規模は、2021年の77億米ドルから

CAGR24.9%で成長し、2026年には233億米ドルに達すると予測されています。ただプラスチック全体の市場規模が約6000億米ドル

(2022年見込み)なのでプラスチック全体に占める生分解性プラスチックの割合はまだ微量であると言えそうです。

 

日本ではまたそれほど浸透していない「生分解性プラスチック」が、欧州を筆頭に今後大幅に伸長して行くことは間違いありませ

ん。今後はそのあたりの動向にも注目して行けたらと思っております。